気分は放浪記

tramping.exblog.jp
ブログトップ
2009年 10月 11日

ユーコン川を下る・・・(12)

キャンプ5日目の朝、このところ夜は晴れているのに朝になると曇ってしまうことが多いのだが、この日もテントから出てみると空は雲に覆われていた。
ただその分冷え込みはそれ程でもなく、7~8℃はあるだろうか。

この日は昨日に比べれば行程も少し楽で、40キロほどの川下りだ。
朝食はラーメンを食べて体を暖める。
こういうところで食べるラーメンは、やっぱりおいしい!

下流へと下るにつれ周りの景色も徐々に変わってきており、スプルースが多かった川岸にはポプラやアスペンが混じるようになり、黄色く色づいた木々の葉が目を楽しませてくれる。

PENTAX K-7+DA★ 16-50mm F2.8
e0110874_22205190.jpg




時折川岸には魚を探しているのか、白頭鷲が流木の上に止まり辺りを窺っている。

DA 55-300mm F4-5.8ED
e0110874_22212268.jpg


川岸は深く切りたった断崖が続き、いつ崩れてきてもおかしくないなので、あまり岸に近づいて漕ぐのは避けておく。
e0110874_22213490.jpg

しばらく進んだ先には前回も登ったルックアウトのポイントがあるので、Ryokoさんと上陸ポイントを探す。
2年前、Katsuさんに導かれるままに止まった場所だが、なんとなく周りの雰囲気は覚えているもので、たぶんあそこだろうという場所で間違いなかった。

カヌーを近づけると体長70cmはあっただろうかと思われるサーモンが、頭と背骨だけを残し横たわっていた。
少し先には大きなムースの足跡がくっきりと残っていたとの事。

切り立った斜面を踏み跡を頼りにしばし登っていくと、そこには2年前に見た時と変わらない黄葉の大地が広がっていた。

DA★ 16-50mm F2.8
e0110874_2222384.jpg

e0110874_22224920.jpg

ただ前回と同じく空には厚い雲がかかっており、さらには今回は雲に表情もなく黄葉を撮るには太陽光があたらないのでコントラストが足りずちょっと残念な状況なのだが。。。

川の下流へと目を向ければ、これから下っていくユーコン川が蛇行をしながらどこまでも続いていくのだった。
e0110874_2223938.jpg

その後は小雨が降った止んだり。
時間的には今日はまだ余裕もあり、各艇漕ぎ手を休めて流れに身を任せたりでのんびり川を下っていく。
カヌーでラフトを組んで筏を作ってそのまま1時間くらい流れていくのもいいなぁと思っていたのだが、このときは結構皆ばらばらに離れて下っていたのでその機会もなかった。

そういえば今回の川旅ではカヌーの上で飲んでなかったよなぁと、ウィスキーをいつでも飲めるように今朝別にして足元においておいたのだった。
もっと良い天気の時だったら気持ちいいんだけどなぁと思いつつ、自分たちは後ろの艇を引き離し先頭にいたので、しばらく漕ぐ手を休めシーバスリーガルをちびちびと飲り始める。

カヌーの上でしばし寝っころがり目を閉じる。
ひんやりとした空気を頬に感じながら、ゆらゆらと心地よくカヌーは水の上で揺れている。
聞こえるのは耳が風を切る音、川の流れる音、カヌーが川の上を滑っていく音、後ろで時折パドルが水を切る音。
e0110874_22251936.jpg
Photo / Thanks to Ryoko


途中でランチがてら、今夜も焚き火の薪に困らないくらいの大量の流木をまたカヌーに積み込んで下っていく。

今日が最後のキャンプ。
時間的に余裕を持って到着したので、まだ日も高い。
ずっと一日中雲に覆われていた空は、急に風が強く吹き始め雲がどんどん流れていく。
またしてもキャンプ地についてから一気に天候回復だ。

ビュービューと風は音を鳴らし吹き続け、頭上や対岸のスプルースは振り子のように揺れている。
しかし自分たちがいる場所には風は下りてこず、日もあたって快適に過ごすことができる。

各自テントを立て一段落すると、焚き火の周りに集まりキャンピングチェアに腰掛け、夕食ができるまでside dishをつまみながらお酒片手に過ごす。
e0110874_22301514.jpg

ほろ酔い加減になった頃、太陽は自分達を包み込むかのように柔らかい光を差しいれてくれる。
このとき、「あぁ、こういう時間がたまらなく好きだからまたここに戻って来たんだなぁ」とつくづく感じた。

太陽が傾き辺りが黄金色に輝き始める頃、心地良い酔いに抱かれて過ごす時間、皆もゴールに近づき緊張感も薄れ、この時間を楽しんでいるのが良くわかる。
e0110874_22294721.jpg

e0110874_22293459.jpg

e0110874_223008.jpg

「明日到着したらやっとシャワーが浴びられる~♪」とかよちゃん、Ryokoさんは地理的に不慣れなTomoさんをカバーすべくここまでがんばっていたので、「ここまでくればもう大丈夫だね」と事故もなく少し安心した様子。

自分はといえば、「もう明日で終わってしまうのか・・・。もう1週間くらいはこのまま下って行きたいなぁ」というのが正直なところ。

そんなこんなで次第に暮れてゆく時間を楽しみながらの最後の晩餐。
e0110874_22304286.jpg
- 本日の夕食はパスタ -


日はゆっくりと沈んでゆき、ゆっくりとしたペースで夜の空へと変わっていく。

ここでゆっくりと言っているのは感覚的な意味だけではなく、緯度が日本よりもずっと高いこの地では太陽が地平線に沈んでゆく角度が浅いため、日が沈んでからの黄昏の時間が長く本当にゆっくりと時間をかけて空の色は変わってゆくのだ。

夜22時頃を過ぎると、ようやく本来の夜の暗さになり始め、空に星がひとつまたひとつとその数を増やしてゆき、あっという間に満点の星空となった。
e0110874_22312749.jpg

e0110874_22324158.jpg

月の出の時間もだんだんと遅くなってきており、東の方角には対岸の岸壁に遮られまだ月が出ていないため、日が経つに連れ星空が良く見えるようになってきている。

オーロラが出るはずの北の空は、ちょうど川の対岸。
少し対岸の崖は高いものの、ある程度の高さに出てくれれば十分見られるはずだ。

この日も焚き火にあたりながらオーロラが出てきてはくれまいかと、時を過ごす。
e0110874_2233232.jpg
- 北斗七星へと流れ星落ちる -

これで最後の夜かと、一人川岸へ降りて星明かりが映りこむ真っ暗な川と星空を眺めて過ごしていた。
e0110874_22332021.jpg

しばらくすると東の空に月が昇り始めた。
e0110874_22333195.jpg

この5日間で月もどんどん欠けていっているのだった。

その後2時近くまでオーロラを待ってみるものの、終にその姿を見ることはなかった。

前回下ったときは、初日の夜にオーロラを見ることができたものの、その後はずっと夜は雲っていた。
今回は月が明るいというのはあったが、比較的夜はいつも天気も良く好条件ではあったのだが、気まぐれなオーロラはどこかへ姿を隠してしまったようだ。

まぁ、相手は自然現象なのだから致仕方ない。
オーロラは見ることができなかったけど、あくまで見られればラッキーというくらいだったので、そこは諦めもつく。
その分今回は星空に月夜も楽しめた事だし、それで良しとして最後の夜を締めくくるのだった。


・・・(13)へ続く。
[PR]

by kibunwatabibito | 2009-10-11 22:33 | ユーコン川 '09 | Comments(8)
Commented by sakky at 2009-10-11 23:39 x
Toshiさんのカメラは、月がこんなに良く撮れるのですね。
流れ星も素敵ですし、驚きました(本当に初心者ですみません)

>、「もう明日で終わってしまうのか・・・。もう1週間くらいはこのまま下って行きたいなぁ」
私もToshiさんのこの旅日記が、いつまでも続くような気になっていたので、
最後の夜と読んで、ちょっと寂しくなりました。
Commented by initial_f3 at 2009-10-11 23:45
星空綺麗ですね。引き続き癒されました。
仲間達とのツアーも楽しそう^^
Commented by kibunwatabibito at 2009-10-12 18:04
sakky さん
月は望遠レンズで撮ってももっと小さくしか写っていませんので、この写真は拡大して載せていますよ。
今回は書くのにもっと時間がかかるかなぁと思っていたのですが、思っていたより順調に進んでしまいました(笑)
Commented by kibunwatabibito at 2009-10-12 18:06
initial_f3 さん
星空は思っていたよりも手軽に撮れてしまって、デジタルのありがたみを感じましたねぇ。
1人旅も好きなんですけど、こういう仲間同士の旅も面白いですね。
Commented by hiro-channel at 2009-10-12 21:05 x
ううーん、良すぎる旅だね。
自分は大自然系の所は殆ど行った事がなく、
カンボディアやメキシコのジャングルを眺めるとか、
そんな感じだったので、こういう自然に入り込むのは
とても興味深いです。
近いところで、白神山地にでも行ってみようかと思います。
子供が生まれて暫くしたらになりそうだけど、
子供にこそこういう体験をさせたいなぁ。
Commented by kibunwatabibito at 2009-10-12 21:44
hiro さん
自分がこういうところ憧れるようになったのは、バイクで北海道とか走った影響なのかなぁ。
白神山地もいいところだね。行った事はないのだけど、いつか訪れて見たい場所の一つですよ。
Commented by leoism at 2009-10-15 14:53
こんにちは。
やっと全て読み終わりました。
朝から夜まで寝たくない場所ですね。
↑これが色々考えた結果一番シンプルでまともなコメントです。
ボクは自分の撮った写真を見て、そこに行きたいと思ってもらえるのが最も嬉しい評価のひとつと思っておりますが、こちらで拝見したユーコン川の写真群はまさにそれです。
アラスカの次はバンクーバー、ハワイ、と色々予定が詰まっておりますが、行ってみたい場所が増えました。
個別にコメントするには出遅れ過ぎましたので素っ気ないですが、色々堪能させていただきました!
Commented by kibunwatabibito at 2009-10-16 21:36
Leo さん
>朝から夜まで寝たくない場所
まさしくそうなんですよ!
睡眠と言うものが必要なければ、そのままずっと明るくなるまでオーロラを待っていたことでしょう。
そして夜から朝へと変わっていく素敵な時間も楽しむことが出来るでしょうね。
こういう場所っていうのは、写真だけでは伝わらないそこでしか感じることが出来ない事ってやっぱりありますから、是非機会あれば訪れて見てください!
自分も行きたいところはたくさんで、時間はいくらあっても足りないですね~。


<< 昭和記念公園のコスモス・・・(1)      ユーコン川を下る・・・(11) >>